少年が何年にも渡って書き溜めて…頭に染み込ませたであろうオタク知識が今!!
(オールマイト 『僕のヒーローアカデミア』に登場)
何もできないと見下していた出久が雄英高校に進学したことを気に入らない爆豪。彼は実戦を想定した「屋内対人戦闘訓練」で公然と出久を殴りにかかった。必殺の一撃をかわす出久。出久は次の攻撃をも先読みし、返し技で爆豪を床に叩きつけた!
以前の出久には考えられない鮮やかな反撃。しかも出久はオールマイトからもらった怪力の「個性」を使わずに、先読みと体術で入試成績ナンバーワンの爆豪と渡り合ってみせたのだ。
「かっちゃんは大抵、最初に右の大振りなんだ」と出久。
出久は、無個性の時からずっと、爆豪も含めて「凄いと思ったヒーロー」の分析は、全部ノートにまとめてきた。爆豪がいやがらせのために爆破して捨てたノートに、研究を続けてきたのであった。
冒頭のセリフは、その様子を見たオールマイトが語った言葉です。ジャンプコミックス第2巻、アニメ第6話に描かれたエピソード。
ノートに蓄積した膨大なオタク知識が今、報われている!
出久がCampusノートならぬCamposノートに書き溜めた「将来の為のヒーロー分析」はコミックス第1巻の時点で13冊目。一見、ヒーローとしての戦闘力とは無関係なノートが、ヒーローの個性を得た出久にとって、大きな力になったのです。
これは漫画だけの話ではないと思います。
人と話すのが苦手で、何を話したらいいのか分からなくて悩んでいる女性がいました。彼女は、ある時から、話のきっかけになりそうなことを、周囲の人や書物を参考にメモするようになりました。すると、人に話しかけるネタのストックができて、自信を持って会話できるようになったのです。
東香名子さんは、月刊PV(閲覧回数)が1万ぐらいの女性ニュースサイトの編集長を任されました。閲覧数を増やそうと、東さんは独学でネット上の人気記事の研究をはじめたそうです。ニュースサイトや経済系サイト、生活情報系サイトなどから「バズった記事」に注目し、研究したのです。その結果、バズる記事には書き方や言葉の選び方などに「型」があることが分かりました。
研究して分かったことを編集部のメンバーで共有したところ、月間PVが650万回になったそうで、広告売上も数千万円に伸ばすことに成功。しかも、コストをかけずにテクニックのみでそれを実現したのです。
これはすごいですね。東先生はバズった記事を8年間、10491本も研究した成果を『「バズる記事」にはこの1冊さえあればいい 超ライティング大全』(プレジデント社)という本にまとめています(この本の内容については、また別途、このブログで取り上げる予定です)。
一つだけ紹介すると、この本の中で東先生は、「オタクネタにこそ、大きな価値があります」と述べています。
アニメ、漫画、本、映画、プラモデル、鉄道、歴史、化粧品…そのジャンルはさまざまですが、オタク気質を持つ人の文章には、好きな気持ちがこもっていて、躍動感があるのです。
ブログでも、自分の大好きな趣味の領域について研究し、語るといいでしょう。
緑谷出久君が、まるで「オタクメガネ君」がやるような、「好きなヒーローの分析」をノートに記録し続けていたように。
ただ、テーマが広すぎると目立ちにくいのも事実。東さんの趣味は「鉄道」ですが、鉄道の専門家は全国にいくらでもいます。とても第一人者にはなれません。そのため、領域を細分化し、「JR山手線」に絞り込んだそうです。その結果、「山手線に詳しいライター」として、テレビのクイズ番組に出演するまでになったとのこと。
「鉄道」といっても、絞り込めば「駅弁」「鉄道漫画」「明治時代の鉄道」「小説に出てくる鉄道描写」「プラレール」「廃線」「無人駅」「鉄道が舞台になっている映画」など、いろいろありそうですね。
100円ぐらいで買える、それこそ、コクヨのCampusノートなどを用意して、表紙に「研究テーマ」と「何冊目」を表わす数字を書きましょう。そして、日々の見聞や書物、ネット情報などから気になったことをとにかくメモするのです。スマホのメモ機能は便利ですが、出久君のように、紙のノートに手書きで書くと、記憶に残りやすいし、「これだけ研究した」という達成感が感じられて、いいかもしれません。
僕の場合は、もちろん、漫画などに出てくる「師匠キャラ」のセリフをノートに書いています。