「誰にも得意・不得意がある お前にはお前のスタイルがある」
『鬼滅の刃』の鱗滝左近次、『転生したらスライムだった件』のハクロウ、そして『NARUTO』の自来也。声優・大塚芳忠さんの威厳と同時に温かみのある声を聞くと「これこそ師匠の声だ」と感じます。
今回取り上げる自来也は、漫画『NARUTO』の主人公・ナルトに、高等な忍術を教えてくれた恩師です。
ところで、どうでもいいことですが、僕が『NARUTO』を読んで疑問だったのは、「ナルトは、ガサツな少年なのに、なんで『おいろけの術』を使ってキレイなお姉さんに化けることができるんだろうか」ということです。
でも、ナルトの体内に封印されているという設定の「九尾の狐(きゅうびのきつね)」について調べたとき、疑問が解けました。
九尾の狐とは、中国の伝説的妖怪(あるいは神獣)であり、「美女に変化して人々を惑わす」とされているそうです。
なるほど、だからナルトは美女に変身できるのか。
僕の勝手な解釈ですが、たぶん合ってるような気がします。
さて、ジャンプコミックス『NARUTO巻ノ十一』で、ナルトは自来也に弟子入りします。その時に自来也(ナルトは「エロ仙人」と呼んでいます)が教えてくれたのが、冒頭の言葉です。
自来也は、ナルトには他の忍者にない強みとして、体内に特別なチャクラ(九尾の狐が入っていることによる)があることを重視します。
「それを利用しないのは 宝の持ちぐされだの!」
自来也は、このように言い、ナルトに対して「無理に皆と同じ修業をする必要もない!」と言ってくれたのです。
現実の世界では、自来也とは逆の教え方をする指導者が少なくありません。
もう引退になりましたが、イチローはオリックスにいた頃、当時のコーチから打撃フォームを変えるよう、何度も迫られたことがあるそうです。
むろん善意の助言だったのでしょうし、すべての指導が間違っていたわけではないと思います。ただ、けっきょく、イチローは自分自身が納得するスタイルを編み出して、その型を変えずに、毎日毎日同じようにやり続けたことで、やがて、不滅の記録を打ち立てる大選手になりました。
せっかく、いい「型」を持っていて、結果も出しているのなら、助言は微調整にとどめ、基本的には本人のスタイルを推し進める方向でいいのではないでしょうか。上の人から頭ごなしに否定され、型を変えさせられ、かえってダメになってしまう選手がいると聞いたことがあります。
スポーツに限りません。
「細い人用の服しか置かない店」というのがあったとして、お客の支持を得て黒字経営になっているのなら、誰かから「ちゃんと、太い人用の服も置きなさい!」と言われても、それを受け入れる必要はないと思います。
「細身の人に愛される店」のスタイルで結果を出しているなら、その特徴を捨てたら、がっかりする顧客が多いかもしれません。
誰もが、どこかに「光るもの」を持っています。
それを生かす、あなたの「スタイル」があるはず。
そのスタイルを、とことん推し進めていくこと。
これが大事なのでしょう。