tadashi133’s diary

実用エッセイや、趣味のエッセイを連載。

架空賢者の名言 スーパーヒーローを育てた“心のビタミン” 【その14】

一つ、他人の力を頼りにしないこと。

(郷秀樹 『帰ってきたウルトラマン』に登場)

 

 【その9】で取り上げた「ウルトラマンキング」に限らず、地球人類から見れば、ウルトラ族はみんな「賢者」でしょう。

 特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』で僕が最も印象に残っているのは、「ウルトラの星光る時」というエピソード。

 

 凶悪なナックル星人は、ウルトラマンの暗殺を計画していました。

星人は地球防衛隊の保有する高性能火薬「サターンZ」を奪います。爆弾として利用すれば東京が壊滅してしまうほどの強力火薬です。さらに、ウルトラマンに変身する地球人の青年・郷秀樹の心を破壊するため、郷の恋人・坂田アキに目をつけます。アキを襲撃するナックル星人。アキの兄が、彼女を守ろうとして抵抗しますが殺害され、結局、アキも重傷を負い、運ばれた病院で息を引き取ってしまいます。

 動揺する郷でしたが、ナックル星人の使役する用心棒怪獣・ブラックキングが出現。郷は怪獣を撃退するため、ウルトラマンに変身! しかし、郷の心の乱れはウルトラマンにも影響し、ブーメランのような必殺武器「ウルトラブレスレット」も跳ね返され、通用しません。ナックル星人もブラックキングのかげから卑怯な攻撃をかけてきます。ウルトラマンのエネルギー源は太陽光線ですが、夕暮れ時を選んで挑んできた星人の狡猾さの前に、エネルギーを使い果たしたウルトラマンは、ついに倒れてしまうのでした。

ウルトラマンは死んだ!」

ナックル星人は地球の人々に声高に宣言します。そして、ウルトラマンの体を逆さハリツケにしてナックル星に運び、今まさに処刑しようとする…!

 

 ウルトラマンを物理的にも精神的にも追い詰め、心を折ろうとしてくる悪辣な星人。

 

 めっちゃくちゃピンチです!

 

 (この後、ネタバレです)

 

 その時、宇宙の彼方から飛来した、2人のヒーロー。

 それは、初代ウルトラマンと、ウルトラセブンでした。2人はハリツケにされたウルトラマンにエネルギーを与えて復活させ、助け出しました。

 ウルトラマンは、初代マンとセブンに感謝し、敬礼すると、地球へ帰還するのです。

 ブラックキングとナックル星人が攻撃をかけてきますが、しかし、ウルトラマンは負けない。初代ウルトラマンとセブンの友情が心の支えになっているからだ。

 ウルトラマンは「スライスハンド」でブラックキングの首を切断、ナックル星人を、ひと投げで秒殺。星人の仕掛けた東京破壊爆弾も無事回収し、事件は解決したのでした。

 けれども、殺された坂田兄妹は帰ってきません。郷は坂田兄姉の弟・次郎少年をひきとります。郷と次郎は、その後、兄弟のように仲良く暮らすことになります。

 

 『帰ってきたウルトラマン』最終回では、郷はウルトラの使命を果たすため、次郎と別れ、宇宙へ旅立ちます。そのときに、次郎は郷に教わった5つの教えを、走りながら叫ぶのです。

 

一つ、土の上を裸足で走りまわって遊ぶこと。

一つ、腹ペコのまま学校に行かぬこと。

一つ、天気のいい日に布団を干すこと。

一つ、道を歩くときには車に気をつけること。

一つ、他人の力を頼りにしないこと。

 

(ただし、項目の順番は後番組『ウルトラマンA』で次郎くんが再登場した時に語った順番にしてあります)。

 

 いつも元気でいようとすること。

 朝ご飯をきちんと食べるような規則正しい生活をすること。

 身の回りのことを確実にすること。

 危険は未然に防ぐこと。

 

 宇宙存在であるウルトラマンの教えにしては、日常的で、あたりまえのことばかりですね。

 でも、あたりまえのことを、毎日、きちんとやり続けるのは、なかなか大変かも。

 まじめにコツコツと、今の自分にできることを少しずつ消し込んでいく、凡事徹底の生き方。

 

 そして最後に、「他人の力を頼りにしないこと」。

 

 これはウルトラマン=郷秀樹が、身をもって示したことです。

 初代マンやセブンによる救出は、ギリギリの場面であって、郷自身は、孤立無援の状況で、死力を尽くして戦いました。

 そんな郷だからからこそ、天の一角から手が差し伸べられたのでしょう。

 

 実際には、他の人に助けてもらっていいと思います。

 頼っていないつもりでも、結局は誰かに頼っているし、甘えているのが僕ら人間ですから。

 でも、できる限り自分で何とかしようという気持ちは、どこかに持っていたい。

 自分を鍛え、世界を悪から救う、ウルトラマンのような人々の登場が、いま、期待されているように思えます。

 

 この5カ条、「家訓」にもなりそうだなと、僕は感じています。