tadashi133’s diary

実用エッセイや、趣味のエッセイを連載。

作家になりたい人へ プロデビュー26の秘密 【その2】本を読まぬ作家はいない

 ノートに残すことで、本のエッセンスを記憶に定着させることができるのです。

 (苫野一徳『未来のきみを変える読書術』筑摩書房

 

 苫野さんは哲学者。

 いくつもの有名出版社から著書を出している方です。

 若者向けに書かれた『未来のきみを変える読書術』では、読書の大切さを力説しておられます。

 「読書は僕たちをグーグルマップにする」のだと。

 大量に読書の経験を積んでいくと、衛星から地上を見おろしたように、「どの道をどう通っていけば、自分の望む地点に到達できるか、おもしろいくらいに見えてくる」というのです。

 いま、本屋さんに行くと「異世界もの」の小説や漫画が数えきれないほどあることに気づきます。中規模以上の本屋さんには、異世界本専用の棚ができています。

 読んでみると、「冒険者」が地下の迷宮に降り、さまざまなモンスターと戦いながら、迷宮の最下層にいる親玉モンスターに挑む設定の話も多いです。その中には「迷宮のどこにどんな敵がいて、ここに罠がある。近道はこれだ」ということが察知でき、頭の中に迷宮の地図を描ける「マッピング」という特殊能力を持つ冒険者が出てくる作品もあります。

 本をたくさん読むと、「マッピング」のように、頭の中に「近道を書いた地図」を描けるようになるのです。

 でも、本というものは読んでしばらくすると、大半の内容を忘れてしまいます。よほどの記憶力を持つ人でないかぎり、これは仕方ないことです。

 そこで活躍するのが、ノート。

 大学の准教授である苫野さんの手元には、「数千冊分」の本のレジュメがあり、これを研究や執筆に駆使しているそうです。レジュメをデータ化としてネット上にも保存し、出先でもタブレットスマホの画面で見られるようにしているとか。

 これは、すごい武器です。

 苫野さんは非常に詳細なレジュメを作るそうですが、大学の研究者ではない僕らであれば、もっと簡単なものでいいでしょう。

 僕のやっている方法をご紹介します。

 まず、本を読みながら、「これは」と思ったページの端を折り曲げます。

 折り曲げ部分が犬の耳に似ているところから、「ドッグイヤー」と呼ばれています。

 本を最後まで読み終わったら、ドッグイヤーのついたページだけを見て、とくに気に入ったフレーズだけをノートに書き写すんです。

 僕は、これを20年以上続けていますが、ものを書く時に常に参考にしています。

 書きためたノート、これこそが財産だと思います。

 たしかに少々の手間はかかりますが、本から得た知恵を長く保存できるメリットは、物書きにとって、計り知れません。