誰だって話をするのに不自由はないのだから、話していることをそのまま文章にすればよかったのである。
(鎌田勝『能力開発 100の方法』三笠書房)
リーダーシップ論を中心に幾冊ものビジネス書を出している鎌田勝氏は、こう述べています。
たしかに、「文章を書くこと」を何か特別なことのように考えると、何も書けなくなってしまうかもしれません。
でも、考えてみると、僕たちは喫茶店や会社の休憩スペースで、友人や同僚と楽しく会話しています。そのとき意思疎通に不自由を感じることは、それほどないでしょう。
「言いたいことが何もない」場合は別です。でも、あなたが何かに関心を持っていて、調べたり、体験したりした内容を「誰かに伝えたい」と思っているときは、しゃべるだけなら比較的簡単にできると思うのです。
だから、まず、書きたい内容を、しゃべってみることをおススメします。声に出さず、心の中で「しゃべって」もいいです。
そして、そのとおりに書くのです。音声入力をオンにして、何かのテーマで1分間ぐらいしゃべると、それだけで400字ぐらいになってしまいます。
あとは、「やっぱり~」「~なんだけど」などと言っているところを、「やはり~」「~であるが」などと書き言葉にすればいい。
これは、分かりやすい文章を書く練習にもなります。話し言葉は書き言葉より一般に平易だからです。
そして、誤字脱字をチェックし、文章の形を整えれば出来上がりです。
文章術の本には、文法用語を多用し、こむずかしい規則を羅列しているものがありますが、あなたが国語学者や出版社の校閲者になるのでもなければ、ほんとうに大事なことは、次の5つです。
1.文が終わったらマル(句点)をつける。
2.書き出しは一字下げる。
3.続けて書かずに次の行に移る(改行する)ときも、一字下げる。
4.一文があまりにも長いと分かりにくいので、短い文に分ける。
5.同じ言い方の文末が4回以上続くと変なので、変化をつける。
これぐらいで充分。
もう少し加えると、テン(読点)のつけ方。これは「声に出して読んだとき、自然に息つぎをしたくなるところにつける」と覚えておけば簡単です。
あと、疑問に思う人が多いのが、かぎかっこに「人のセリフ」を入れるとき、いちいち改行するのかどうか、です。小学校の作文の授業では改行するように言われるかもしれませんが、しなくても問題ありません。
秋子が春夫に「アイスが食べたい」と言った。
こんなふうに書いていいんです。