tadashi133’s diary

実用エッセイや、趣味のエッセイを連載。

作家になりたい人へ プロデビュー26の秘密 【その7】ノートを携帯する

 作家には、ノートを持って歩いていて、何か面白いと思ったこと、事件、人間など片っ端から書きとめておく、という人が多い。

 (赤川次郎『ぼくのミステリ作法』徳間文庫)

 

 高名な作家、赤川次郎先生が創作の秘密について明かしたお値打ち本です。作家という種族は僕ら一般人とは違って、「ペンさえ持てば天啓のように自動的に書ける」ものかと思ったら、実はそうでもなく、「ネタ帳のようなものを持っていて、書きとめている人が多い」ということが分かります。

 これは、しろうとの僕らには福音です。

 なぜなら、真似できるのですから。

 気に入ったノートをコンビニかどこかで買ってくるだけ。

 今日からできる、かんたんな方法です。

 面白いできごと、小耳にはさんだ噂、ふっと思いついたアイデアなどを書いておけば、ブログにエッセイを書くネタにも困らなくなるでしょう。

 さらに、この本のなかで赤川先生は、次のように述べておられます。

 

 作家になるのに、決まった手順があるとも思えませんが、まず本を読むこと、書いてみること、この二つに尽きるのではないでしょうか。

 

 小説家やエッセイストなど、「プロの文筆家」になりたい人は、この赤川先生の金言に従ったほうがよいでしょう。

 「本を読むこと」と「書いてみること」。

 これも真似できることです。

 再現性のある、具体的なアドバイスです。

 だから、この単純な2つのことを、普通の人よりもちょっとだけ多く実行すれば、ちょっとだけ文章のうまい人になれる。

 もし、普通の人よりも、はっきりと多く、しかも継続的に実行したら、プロになれる可能性は十分にあるでしょう。

 この本のなかには、小説を書くうえでの「人称」の問題も出ています。

 「人称」というと、こむずかしい議論のようですが、そうでもありません。

 「私・俺」などが一人称。主人公目線の小説がこのスタイルですね。

 「彼・彼女」などが三人称。事態を神様の視点から描くスタイル。

 ちなみに二人称の「あなた」目線で描かれた小説は少ないです。

 赤川先生は、こう述べています。

 

 三人称で書くと、「彼は庭を歩いていた。庭は✖✖や〇〇や△△などの花で埋まっていた」という具合に、花の名前をきちんと入れなくてはならない。

 

 一人称にすれば、「私は庭を歩いていた。庭は、私など名前も知らない美しい色の花で一杯だった」と逃げることができます。

 

 僕はこれを読み、自分は植物の名前にうとい(チューリップとヒマワリ、あと、いくつか分かるだけ)ので、「小説を書くなら主人公目線の一人称にしよう!」と思いました。

 このように有名な作家さんが「創作の秘密」を公開している本は、探せばけっこうあるので、何か1冊、読んでみてもいいかもしれませんね。