ただ書くだけで公表しないのでは、飽きてしまうだろう。
(田上貞一郎『「新聞投稿」達人教本』廣済堂)
文章力をつけるには、毎日、何かを書くことが大事です。
でも、誰にも見せず、ただひたすら書くというのでは、はりあいがないので、ふつうは続かないでしょう。
田上さんは新聞投稿の達人で、投稿術についての本まで書いています。
書いた文章を公表するのは恥ずかしいことですが、2つのメリットがあります。
1つめのメリットは、文章力が向上すること。
2つめのメリットは、世の中のお役に立てること。
1つめのメリットについては、こういうことです。
新聞の読者欄に投稿する場合、必ず載るわけではありません。編集者が読み、「紙面に載せる値打ちがある」と認められなければ活字になりません。
きびしいことですが、だからこそ、載ったら達成感がある。
そして、「採否」という「結果」が必ず出るため、「どうすれば掲載されるのか」を考えるようになり、人に伝わる文章を書くための練習になるのです。
ブログも同じですね。
ブログの場合、自分自身が編集者なので、書いたものがそのままの形で表示されますが、それを何人の方々が読んでくださるかという「結果」が、数値として、はっきりと出ます。「より多くの人に読んでいただきたい」と思って、自然と内容や表現を工夫するようになる。「はてなブログ」での執筆を習慣にすることは、そのまま、文章のトレーニングになると思います。
2つめのメリットについてはどうでしょうか。
文章を公表するという行為は、書き手が、自分の持っている「良いもの」を世の中に差し出すことです。「良いもの」とは、感動や驚き、実用的な知識など、その内容はさまざまですが、読者が「読んでよかった」と思うような価値だと思います。
個人的に勉強したことを、自分だけのものにしないで、外に出していく。
その表現物が、会ったこともない誰かの人生にプラスのものを付け加えていくことになるとしたら、本当にうれしいことですね。