「このことに関してはだれよりもくわしい」という得意分野を持つライターは強い。
ライターになりたいと思っている人は多いですが、誰でもなることができます。だれでも最初は未経験であって、「学歴・資格不問・開業資金ゼロ」で始められるのがライター業です。「はてなブログ」に文章を発表し、わずかでも収益を得ている人は、もう、りっぱなライターさんです。
この本で中島京子さんが述べていることは、「ライターとして成功するための方法」。ライターの商品は文章ですが、できれば、他の人が書くものと差別化できていることが望ましいですね。
同業者のなかで目立つための工夫をすること。他と違うユニークなところを出して目印をつくることです。
そのためには、コンペイトウのように尖った部分、でっぱりを作りましょう。
何かに詳しくなればいいのです。
たとえば、映画が好きなら、「映画に詳しいライターになる」というのもアリです。
そのためには、ふつうの映画ファンから抜け出す必要があります。映画ライターなら、最低でも月に20本は見ているそうです。
映画のなかでも、特に強いジャンルをつくるのもおススメ。
「ホラー映画なら任せて」「怪獣映画が得意です」「とことん青春映画にこだわっています」などと特化した知識をつくり、自分の「ウリ」にしましょう。
何かを集めているなら、それを極めてもいいですね。
あまり場所をとらないものとして、「箸置き」があります。
ハトの形の箸置き、ウナギの箸置き、ゼンマイの箸置きなど、コツコツ買い集めて映像といっしょに文章を公開するのもいいかも。
詳しい分野をつくる際にはコツがあります。
それは、「記録をとる」こと。
「指南役」というペンネームの人が出している『情報は集めるな!』(マガジンハウス)という本には、ある女性の例が書かれていました。
赤坂のビストロで、お店の人が空いたボトルを下げようとしたとき、ある女性が店員さんに、「ラベルいただいてもいいですか」と言ったそうです。その女性はバッグからワインラベル保存用シート(そんなのがあるんですね)を取り出し、ラベルに貼り付けます。端を持ち上げると、徐々にラベルがはがれ、印刷部分がシートにはりついていきます。彼女はシートの裏に、日付とワインの感想を書き、もう5冊目だという2穴式のファイルにとじたそうです。彼女は3年前から、ワインを飲む機会があるたびにこうして記録をとっているとか。
「もう100枚はたまったかしら」と言う彼女のワインの知識は大変なものでした。
3年で100本という数を聞いて「指南役」氏は思ったそうです。それぐらいの本数なら、僕も飲んでいる。しかし、僕自身がこの3年で身につけたワインの知識はゼロだったと。
ここから言えることは、「ただ漫然と経験するだけ」ではダメだということです。
映画ライターになりたいなら、映画を見た後、ノートに「映画の題名、日付、監督と主演俳優、1行でまとめたあらすじ、印象に残った場面とその理由」といったことを毎回メモしていくとよいでしょう。
「漫然と」ではなく「意識的に」経験することで、対象から得たものが「使える知識」になり、文章として世の中に発信できるようになります。
得意分野をつくりましょう。