tadashi133’s diary

実用エッセイや、趣味のエッセイを連載。

作家になりたい人へ プロデビュー26の秘密 【その19】取材して書く

 ギャルの人に取材をしたり、九州に住む人に方言の取材をしたりと準備を万端にしました。

 (桜目禅斗『あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?』スニーカー文庫

 

 「祝重版出来‼」と帯にあったので購入したライトノベル

 あらすじを紹介しましょう。

 

 福岡県の田舎町に住む小学生の男子・天海七渡(あまみななと)は、同じ学年で幼馴染の女子・城木翼(しろきつばさ)と仲が良かった。ところがある日、2人の親たちが七渡と翼を許嫁にすると突然、宣言したのだ。このことで、かえって気まずくなった七渡は、翼から距離を置くようになってしまう。その後七渡は東京へ引っ越すことになり、小5の春に2人は離れ離れになったのだった。大泣きしながら手を振る翼に、七渡は何の言葉もかけてあげられなかったのである。

 東京で中学生になった七渡は、綺麗な外見だが周囲から恐れられ、浮いていた女子・地葉麗奈(ちばれいな)と仲良くなる。七渡は麗奈を親友だと思っているが、麗奈のほうは……。その後、七渡と麗奈は同じ高校に進学。クラスも同じになる。だが、そのクラスには福岡から進学してきた1人の女子がいた。それは翼であった。やがて七渡と翼は許嫁であることが、クラスのみんなにバレてしまう。

 

 こんなお話です。

 鈍感な七渡をめぐって、翼と麗奈の間にバチバチの火花が散ることになるのは言うまでもないことですが、僕がここで言いたいのは、三角関係の結末ではありません。

 作者の桜目先生が、この小説を書くにあたって、冒頭に掲げた言葉(この小説の「あとがき」に書かれています)のように、「取材」を行なっているということです。

 ギャルの人に話を聞き、九州の方言を教えてもらうといった準備をすることで、2人のヒロインの描写にリアリティを与えているのですね。

 自信を持って描写できない人や場面があったら、ネットや図書館で調べるのはもちろん、詳しい人に聞いてみましょう。頭の中で漠然と想像して書くのと、実際を知って書くのでは大きな違いがあります。

 そういう意味では、はじめて小説を書く方は、できれば主人公の通う学校や職業は自分の通った学校、自分の職場をモデルにするのがおススメです。そうすれば、自分の体験そのものが小説の取材になります。デパートに長年勤めてきた人だったら、ふつうのお客さんには分からない、デパートの内部事情が分かるので、そういうことを散りばめて書くと、読者には面白いわけです。

 また、常日頃から電車内や店内、公園などで、そこにいる老若男女の様子や言葉を観察し、ネタ帳にメモしておくのもいいと思います。